移動層
moving bed
小塊状あるいは粒状の固体粒子群を垂直な塔内に充塡し、塔上部の入口から粒子群を供給し,下部の出口から排出することで,重力の作用によりゆっくりと連続的に移動させる粒子層が形成できる。この粒子層を移動層あるいは移動床という。移動層に流体を透過させて接触反応やろ過(濾過),集塵,吸着・吸収などに用いる。重力の作用で垂直に粒子群を移動させるのが一般的であるが,機械的に水平方向に移動させる場合も広い意味で移動層に含まれる。流体を粒子流に平行に流して接触させる,向流あるいは並流接触型と,グレート(格子)を用いて粒子流に垂直に流体を透過させる十字流型がある。垂直落下向流接触式ではガス流速を流動化開始速度以下に抑える必要がある。
移動層は,使用可能な粒度範囲が広く,粒子と流体の処理量に可変性があり,粒子の運動が穏やかなため操作による微粉の生成が抑えられる,粒子滞留時間の均一化に有利などの利点がある。他の粉体反応装置と比較すると,固定層に比べ,粒子の連続的な装入,搬出が可能であるが,均等抜き出しは流動層に比べ難しい。また,固気接触効率は固定層に比べ高く,粉塵の同伴は流動層に比べ少ないが,熱・物質移動速度が遅いため,温度制御性などは必ずしも高くない点などに特徴がある。
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