インターカレーション反応
intercalation reaction
層状構造を有する物質の層間に他の物質が挿入される現象または反応の総称。前者をホスト,後者をゲストと呼ぶ。典型的には,粘土鉱物やグラファイトへの無機物イオンや有機物の挿入などがある。挿入は通常,液体中に溶解したゲストが懸濁分散しているホストに入り込むことによって起こる。その機構は,開口部への吸着と,拡散による内部への浸透とからなり,それぞれ核生成と成長になぞらえて理解されている。挿入の駆動力は,イオン交換,酸塩基反応など,電荷移動をともなうものが多い。外部電場の刺激によって起こる電気化学的インターカレーションは電池の電極反応として重要。たとえば,リチウムイオン電池は,電極へのリチウムイオンの電気化学的で可逆的な挿入によって作動する。最近は,三次元格子間への無機物イオンの挿入もインターカレーションと呼ばれることがある。また,リチウムイオンなどのインターカレーション後にホストを水中に投入し,発生する水素ガスの圧力で層状構造結晶をはく離する技術もある。
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