エックス線透過法
X-ray extinction method
沈降法の一つで,光透過法と同様の原理であるが,光線の代わりにX線を使用する。粒子径に比較してX線の波長が極端に短いため,光透過法で問題となる吸光係数(吸収係数)の粒子径依存性を考慮する必要がない。このため沈降法の原理に比較的忠実な測定手法といえる。粒子懸濁液重量濃度 $C$ と透過X線量 $I$ には,ランバート•ベアの法則が成立する。
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I \varpropto \exp \left( -kC \right)
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ここで,$k$ は粒子の吸収係数であり,試料物質のみに依存する。
増分形均一分散法の場合,測定開始時の全粒子に対する透過X線量を $I_{100}$ とすれば,ふるい(篩)下重量基準粒子径分布は次式で求まる。
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Q_{3}=\ln\left(\frac{I_{100}}{I}\right)
$$
X線は透過性が高い(吸収係数が小さい)ため,懸濁粒子濃度を $10\ wt.\%$ 程度と高くする必要がある。高濃度スラリーなどはそのままの濃度で粒子径を測定できるという長所の反面,干渉沈降の影響を考慮する必要がある。また炭素以下の軽元素(カーボンブラック,グラファイト)やその化合物(高分子,窒化ホウ素)などの測定はきわめて困難である。
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沈降法,
光透過法
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