エマルション,乳濁液
emulsion
二つの相互に溶けない液体の一方が,他の液体中に微粒子状(液滴)に分散している系をエマルションという。水と液体(油)からなる系が一般的であるが,この分散系(水/油あるいは油/水)の界面自由エネルギーを低下させ安定化させるのに,乳化剤(emulsifier)が用いられる。この系の各相は分散相(液滴)/連続相と定義される。エマルション粒子の大きさは大体 0.1~50 µm 径程度であり,生成条件,すなわち乳化剤の種類,両液体の容積の相対比,乳化の機械的条件,器壁の親媒性などに依存する。エマルション調製方法は分散法と凝縮法があり,通常はほとんどが分散法である。分散法では一つの液体を他の液体中に細粒化し調製される。乳化には,通常エマルション以外に自然乳化とマイクロエマルションがある。自然乳化は両相問の界面張力が特に低いことが条件であり,界面での溶質による界面張力の局所的低下によって界面にかく乱が起こり,その激しい拡張により一方の液体を包み込む結果である。他方,数~数十 nm 程度の微小液滴のミセルに可溶化された物質を含む場合,この液滴が分散した溶液はミクロエマルションである。
→ 界面エネルギー
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