下限臨界共溶温度
lower critical solution temperature (LCST)
一般に,貧溶媒—高分子系の溶液では,温度を上昇させると相溶性が増加して,ある温度以上では均一溶液相となる。この温度を上限臨界共溶温度(upper critical solution temperature: UCST)と呼ぶ。一方,さらに温度を上げていくとある温度以上で再び相分離を生じることが知られており,この温度を下限臨界共溶温度(LCST)という。近年,水溶液系で常温付近に LCST を有する高分子の敏感な相溶(水和膨潤)・相分離(脱水収縮)を,温度応答性機能発現に利用しようとする研究開発が多く行われている。応用例としては,温度応答性増粘剤,固定化酵素担体,分離・濃縮剤,表示デバイス,脱水・保水材,人口筋肉,ドラッグデリバリーシステムの担体などがある。代表的な高分子としては poly (N-isopropylacrylamide) や,ある種のセルロース誘導体(メチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロースなど)があげられる。
→ 薬物送達システム,徐放性製剤
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