カニンガムの補正係数,スリップ補正係数
Cunningham's correction factor
気体中を運動する粒子が気体から受ける流体抵抗力の補正係数。粒子のサイズが気体分子平均自由工程とほぼ同程度からそれ以下の場合には,気体は連続的な流体とはみなせなくなり,粒子表面での流体速度は分子運動のためゼロとはならず,いわゆる,流体の滑りが生じる。このため,粒子が受ける気体抵抗力は気体を連続的な流体と仮定した抵抗則から予想される抵抗力よりも小さくなる。この滑りによる流体抵抗力の減少を補正する係数をカニンガムの補正係数という。
カニンガムの補正係数を与える式として理論的解析や実験結果に基づき種々の式が提案されている。たとえば,空気中の固体粒子に対するカニンガムの補正係数 $C_{\mathrm{c}}$ は,クヌーセン数 $Kn$ の関数として,
$$
C_{\mathrm{c}} = 1+Kn \left\{ 1.142+0.558\exp \left( - \frac{0.999}{Kn} \right) \right\}
$$
また,油滴に対しては,
$$
C_{\mathrm{c}} = 1+Kn \left\{ 1.207+0.440\exp \left( -\frac{0.596}{Kn} \right) \right\}
$$
で与えられる。
→ ストークスの抵抗法則
【広告】