慣性集塵
inertial dust collection
気流中に障害物を挿入し,気流の方向を急に変えても,粒子は慣性力のために直進しようとすることを利用して,粒子を障害物上に衝突・捕集する集塵方法である。
慣性力は粒子の質量と速度変化に比例するため,大きな粒子は容易に分離されるが,小さい粒子を捕集するには急激な速度変化を与えてやらねばならない。粒子が,慣性力により障害物に捕集される割合,すなわち捕集効率は,次式で定義されるストークス数 $Stk$(数値が $(1/2)$ のものを慣性パラメーター $\psi$ ともいう)により主に決まる。
$$
Stk = \frac{C_{\mathrm{c}}\rho_{\mathrm{p}}{D_{\mathrm{p}}}^{2}v}{9\mu D_{\mathrm{c}}} = 2\psi
$$
ここで,$C_{\mathrm{c}}$はカニンガムの補正係数,$\rho_{\mathrm{p}}$ はガス密度,$D_{\mathrm{p}}$ は粒子径,$v$ は外力による粒子の移動度,$\mu$ は流体の密度,$D_{\mathrm{c}}$ は捕集体代表長さである。
しかし,速い気流速度では捕集した粉塵が再飛散したり,圧力損失が大きくなるなどのため,小さい粒子の慣性力集塵は実際上困難である。このため,慣性集塵は,粗粒子捕集用の前置集塵装置として利用されている。慣性力集塵装置の最も代表的な装置にはルーバー型分級機がある。
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慣性分級
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