粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

気泡相

bubble phase

 粒子濃度が高い固気系流動層では,層内に形成され個々に独立して上昇するガス塊のことを,また,気液固三相流動層では,固液懸濁相中のガス塊のことを,気泡と呼ぶ。気泡の集合を気泡相と呼び,気泡相が出現している流動層を気泡流動層(bubbling fluidized bed)と呼ぶ。固気系流動層中の気泡の場合,気泡とその周りの濃厚相の間にはガスの貫流がある。気泡の内外でガスが閉じた流れをつくるとき,その領域をクラウド(cloud)と呼ぶ。気泡は互いに合体したり分裂したりするが,合体が支配的な場合には,層上部へいくほど気泡は成長し層中心軸上に集中する傾向がある。分裂と合体が釣り合う場合,平均気泡径は気泡が上昇しても変化しなくなる。このときの気泡径を「平衡気泡径」と呼ぶ。気泡は流動層における粒子混合の主役である。さらに,気泡は流動層の表面で破裂(eruption)し,粒子をフリーボードに射出(splash)する。気泡内のガスの渦は気泡破裂後も存在し,フリーボード中をゴーストバブルとして上昇し,そこでの乱流構造や粒子の横方向拡散に影響を及ぼす。
 気泡の上昇速度は気泡径の 1/2 乗に比例する。気泡の上昇速度が濃厚相内ガスの平均速度(最小流動化時の層内ガス速度)よりも速い場合を「速い気泡」,遅い場合を「遅い気泡」と呼ぶ。Geldart は気泡流動化の特徴により粉体を A,B,C,Dの4種類に分類した。グループA粉体では気泡の分裂頻度が高く平衡気泡が得られやすい。しかし,最小流動化速度も小さいので速い気泡が多い。グループB粉体中の気泡は合体により成長するため,速い気泡が多い。グループC粉体は微粉で付着性が高く,流動化させにくいが,凝集体を形成して流動化させることは可能である。グループD粉体は粗粒で主に遅い気泡を形成する。
 流動層を濃厚相(エマルション相;emulsion phase)と気泡相に分け,それぞれを連続相のように扱うモデルを二相モデル(two phase model)と呼ぶ。気泡相の状態は,気泡の代表径(気泡径),気泡分率,気泡の合体・分裂頻度などによって表現される。

→ 希薄相最小流動化速度ゲルダートの粉体分類図気泡流動層凝集流動化


気泡相
気泡相
執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/06/18

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