逆電離,逆コロナ
back discharge
電気集塵や静電塗装の過程において,電極上に捕集された粒子の抵抗率 $\rho$ [Ω m] がある値を超えると,粒子層内の電界強度が破壊値を超えて絶縁破壊を起こし,粒子層表面から放電極に向かう放電を生じる。この現象を逆電離と呼ぶ。逆電離の開始条件は,イオン電流密度 $i$ [A m-2],粒子層の破壊電界強度 $E_{\mathrm{b}}$ [V m-1] を用い,
$$
\rho \cdot i \geqq E_{\mathrm{b}}
$$
と書ける。$E_{\mathrm{b}} \fallingdotseq 10^{6}~\mathrm{V~m^{-1}}$ なので,通常の電気集塵装置などでは,$\rho \fallingdotseq 10^{9}~\mathrm{\Omega~m}$ 程度から逆電離が発生する。
逆電離による放電は,電圧の上昇とともに,粒子層から放電極に向かうストリーマーを発生し,火花が頻発するようになるので,装置の安全な運転を不可能にする。粒子層の抵抗率がさらに上昇して $10^{10}\sim 10^{11}~\mathrm{\Omega~m}$ を超えると,火花放電は停止する反面,粒子層の全面にわたって多数の絶縁破壊が発生,一面にりん光を発するとともに多量の逆極性イオンを放電極に向かって放出し,粒子のもつ電荷を中和するので,放電電流は異常に増加するが,集塵機能は全く失われてしまう。
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電気集塵
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