吸引圧,毛管ポテンシャル,サクションポテンシャル
suction pressure
多孔質固体や粉粒体層を液体に触れさせると,親液性物体の場合には液体はその内部に浸透していく,すなわち粉粒体層が液体を吸い込む力があり,その液体を吸引する力を吸引圧と呼ぶ。吸引圧により液体を移動させる仕事が生じるためサクションポテンシャルとも呼ばれ,自由液体はポテンシャルゼロと定義される。吸引圧は毛管吸引圧と浸透吸引圧(オスモティックサクションポテンシャル)からなり,液体が垂直方向へ移動する場合には重力ポテンシャルを含む。毛管吸引圧は液体非吸着性粉粒体により形成される間隙(毛管)を表面張力により液体が移動する場合の圧力であり,含液率と液体の空隙内存在状態に影響される。粘土のような微粉体は電気化学的な作用で水をその表面に強く吸着し,一般に粉体層は膨潤する。その吸着した水(吸着水)を脱水するためにはこの結合力に対応する仕事が必要となる。このような原因により生じる吸引力を浸透吸引圧,そのような水をオスモティック水と呼ぶ。
吸引圧と含液率の関係の測定には 10 µm 以上の粒子においては -1 気圧までの毛管吸引圧を測定できるハイネスの装置(Haines's apparatus)がある。それ以上の吸引圧の測定は多孔質板あるいは多孔質膜上の試料を加圧して液体を押出す方法,重力場の代わりに遠心力場を利用する方法がある。
→ 毛管圧力,毛管上昇 ,ファニキュラー域,ペンデュラー域, キャピラリー域
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