吸脱着法
adsorption-desorption method
固体表面に対する特定物質の吸着および脱着等温線を測定し,それらを解析することにより表面の特性を評価する吸着科学的な手法をいう。たとえば固体表面と吸着質との相互作用が単純な物理吸着であれば,吸脱着は可逆的で両等温線は完全に一致する。しかしマイクロポアやメソポアなどの細孔を有する多孔体試料では一般にヒステリシスとなる。このようなとき,ケルビンの毛管凝縮式を用い吸脱着等温線を解析することにより細孔の形状,分布,容積などを検討することができる。化学吸着,あるいは固体内部への吸収をともなう収着現象,固体表面の溶解などを引き起こす場合も,吸脱着等温線は一致しない。また固体表面の酸・塩基性サイトの評価は,吸着質としてそれぞれのサイトと特徴的な相互作用が期待される塩基性あるいは酸性の吸着質分子を用い,吸脱着等温線の測定,そしてそれらの解析から行われている。すなわち単位面積当たりの化学吸着量,物理吸着量とに分離定量することから表面の酸・塩基のサイト量を求めることができる。また化学吸着した分子の昇温脱離スペクトルを測定し,脱離温度の高低から表面の酸・塩基サイトの強度を,またその温度近辺における脱離量からそれぞれの強度を有するサイト量を決定することができる。
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