一定の温度において，吸着平衡に近づく際の吸着増加量の時間的変化を吸着速度という。吸着速度が著しく速くない場合，通常の吸着装置で測定可能である。吸着速度を求めるには定圧下で重量変化，あるいは定圧吸着装置で容積変化を測定する。また定容吸着装置を用いる場合，圧変化を測定することから求められる。吸着現象の本質を知るうえで重要な点は，吸着速度や平衡吸着量を求めることである。前者は動的吸着現象の議論であり，後者は平衡論的な取り扱いで吸着等温線や等温式に関する議論である。一般に吸着速度は物理吸着においては非常に速く，化学吸着においては遅い。吸着による濃縮，分離，除去などの単位操作の実際面において吸着速度は重要である。