凝集剤
coagulant, flocculant
液相中の分散粒子の分離には,粒子を凝集し,沈降速度を増大させて分離する方法がある。この水処理操作における凝集に用いられる薬剤が凝集剤で,電解質と水溶性髙分子がある。電解質は,静電反発力により分散している粒子に対して用いられ,対イオンにより粒子の帯電を遮蔽し,粒了間の静電反発力を消失させて,凝集させる。限界凝集濃度は,シュルツ・ハーディ則から予測されるように対イオンの価数とともに指数関数的に減少するので,凝集には価数の大きい対イオンが効果的である。無機粒子は負に帯電している場合が多く,上水処理などでは Al+3 が多く用いられる。水溶性高分子には,力チオン性,ノニオン性,アニオン性高分子があり,吸着による粒子帯電表面の遮蔽と二粒子表面間架橋のメカニズムにより粒子を凝集させる。一般に個々の分散系に対する高分子凝集剤の選定は難しい。高分子凝集剤は,極少量の添加で巨大フロックが形成され,水処理に効果的であるが,未反応のモノマーが混入している危険性があり使用範囲が限られる。また高分子凝集剤には最適凝集剤濃度が存在し,それ以上の濃度では吸着高分子は保護膜となり,粒子は再安定化される。
→ 凝集沈殿,シュルツ・ハーディ則,沈降速度,限界凝集濃度,高分子凝集剤
【広告】