粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

許容濃度

occupational exposure limits

 労働者が 1 日 8 時間,週間 40 時間程度,肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露される場合に,当該有害物質の平均曝露濃度がこの数値以下であれば,ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度である。曝露時間が短い,あるいは労働強度が弱い場合でも,許容濃度を超える曝露はさけるべきである。なお,曝露濃度とは,呼吸保護具を装着していない状態で,労働者が作業中に吸入するであろう空気中の当該物質の濃度である。ただし,許容濃度は,安全と危険の明らかな境界を示したものと考えてはならない。したがって,労働者に何らかの健康異常がみられた場合に,許容濃度を超えたことのみを理由として,その物質などによる健康障害と判断してはならない。また逆に,許容濃度を超えていないことのみを理由として,その物質などによる健康障害ではないと判断してはならない。また,人の有害物質などへの感受性は個人ごとに異なるので,許容濃度以下の曝露であっても,不快,既存の健康異常の悪化,あるいは職業病の発生を防止できない場合がありうることなど,利用する際に注意する必要がある。
 許容濃度については,わが国では日本産業衛生学会が,アメリカでは米国産業衛生専門官会議(American Conference of Governmental Industrial Hygienists : ACGIH)が,毎年数値を更新して勧告している。労働省でも粉塵の作業環境中の管理濃度を吸入性粉塵について示しているが,日本産業衛生学会の許容濃度と同値を採用している。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/8/30

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