粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

気流層

entrained bed

 気流に粒子を同伴させて形成した希薄粒子分散系。希薄輸送層ともいう。空気輸送(pneumatic transport)管,微粉炭燃焼炉,「噴流層」ガス化炉(いわゆる噴流層(spouted bed)とは異なる;石炭ガス化技術の慣用語),希薄ライザーリアクター,スプレードライヤーなどの中の分散系がこれに該当する。あえて空気輸送と異なる呼び方をするのは,固気反応や触媒反応のための反応装置や粒子分散系としての性質に着目するためと考えられる。気流層の粒子濃度の範囲は,粒子—ガス間の相対速度が終末速度で近似できる範囲である。粒子ガス間の相対速度は,Richardson—Zaki の干渉沈降についての相関式を拡張して次のように書ける。 $$ u-v = u_{\mathrm{t}}\,\varepsilon^{n-1} $$ ここで,$\varepsilon$ は空間率,$u$ はガス速度,$v$ は粒子速度,$u_{\mathrm{t}}$ は粒子の終末速度,$n\fallingdotseq 5$:Richardson—Zaki 式中の指数である。
 気流層中では粒子の平均自由行程が長いため,流動層の場合のような粒子温度のー様性は存在しない。他方,粒子が溶融していたり湿潤状態であっても,粒子が衝突により凝集し成長することはまれである。
 粒子の濃度が上昇すると,気流層の希薄輪送状態は崩壊し,濃厚輸送状態に移行する。この遷移がパラメーターのわずかの変化で起こる場合,それを閉塞現象(choking)と呼ぶ。細い管による空気輸送では,粒子濃度の増加とともに,粒子と管内壁との摩擦損失が急増し閉塞につながる。一般に,空気流速がある臨界値を超えると,粒子濃度が増加しても閉塞は起きなくなる。このようにして移行する濃厚分散状態は高速流動層(fast fluidized bed)と呼ばれる。

→  空気輸送終末沈降速度高速流動層

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/06/24

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