クリーピングモーション式
creeping motion equation
流体運動の支配方程式であるナビエ・ストークス式において慣性項を無視した式をいう。すなわち,流体の運動において粘性力が支配的で慣性力が無視できる流れを記述する方程式で,慣性項と粘性項の比であるレイノルズ数が 1 より小さい場合の流れの運動を表わす方程式である。非常に遅い流れや微粒子の周りの流れがこの式によって記述される。通常は定常流れを取り扱うので,ナビエ・ストークス式において慣性項と非定常項を無視するとクリーピングモーション式が得られ,次式となる。
$$
\mu \nabla^{2} \boldsymbol{v} = \nabla P \tag{1}
$$
ここで,$\boldsymbol{v}$ は流体の速度ベクトル,$P$ は静圧,$\mu$ は流体の粘性係数,$\nabla$ はナブラオペレーターである。連続の式 $\nabla \cdotp \boldsymbol{v}=0$ を用いて式 (1) を変形すると静圧に関するラブラスの式が得られ,次式となる。
$$
\nabla^{2}P=0 \tag{2}
$$
式 (2) を解き,式 (1) に代入し境界条件を満足した解を得るようにすれば,流速分布が得られる。球周りについて解いたのが有名なストークスの流れであり,速度勾配から応力分布を求め,それと静圧分布を球表面で積分することにより球に働く流体抗力が求まる。それが粒子の運動によく用いられるストークスの抗力式である。
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ストークスの抵抗法則
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