ケルビンの式
Kelvin's equation
曲率をもった液表面での蒸気圧 $p_{\rm{d}}$ は,次のケルビンの式で与えられる。
$$
\frac{p_{\rm{d}}}{p_{\rm{s}}} = \exp \left( \frac{4\sigma v_{\rm{m}}}{D_{\rm{p}}kT} \right),\;\;v_{\rm{m}}=\frac{\overline{V}}{N_{\rm{av}}}
$$
ここで,$p_{\rm{s}}$は平坦な液体表面の飽和蒸気圧,$\sigma$ は表面張力,$\overline{V}$ はモル容積,$N_{\rm{av}}$ はアボガドロ数,$D_{\rm{p}}$ は液滴径または液体の(曲率半径×2),$k$ はボルツマン定数,$T$ は絶対温度である。凸面では $p_{\rm{d}}/p_{\rm{S}}>1$,凹面では $D_{\rm{p}}$ が負となって $p_{\rm{d}}/p_{\rm{S}}<1$ となる。また液が蒸気成分に対して溶解性の物質を含んでいるときには,$p_{\rm{s}}$ の値を次のように補正すれば,上式が成立する。溶液の活動度係数を $\gamma$,溶解している物質のモル分率を $x$,純粋な液の飽和蒸気圧を $p_{\rm{so}}$ とすれば,$p_{\rm{s}}=\gamma\,(1-x)\,p_{\rm{so}}$ となる。希薄溶液では $\gamma=1$ である。溶解性物質を含む液滴の場合,上式の $p_{\rm{s}}$ にこの関係を入れればよい。液滴ではケルビン効果で表面での蒸気圧は高められるが,溶解性物質が混入することによりこれが低下することになる。また,凹面が支配的となる液架橋の場合には,これら両者による蒸気圧の低下により大きな架橋ができる。
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ケルビン効果
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