限界応力状態,塑性平衡状態
critical state of stress
静止粉体層のある面に種々の垂直,せん断応力(剪断応力)を働かせると,静止の状態を保つ場合と粉体層の滑り崩壊が生じ流動しはじめる場合に区別される。この静止と流動のちょうど境界の応力状態を限界応力状態という。粉体層をある面に沿ってせん断(滑り崩壊)しようとすると,それに必要な剪断応力 $\tau$ はその面に働く垂直応力 $\sigma$ に依存する。すなわち,粉体層内にある点または面で滑り崩壊が起こるとすると,正確には崩壊が起こる寸前にはこの点または面素上に作用する $\sigma$ と $\tau$ の間には一定の関係が存在する。この関係を降伏関数または破壊包絡線という。粉体層の応力はモールの応力円で表わされるが,粉体層が限界応力状態にあるとその面の応力はモールの応力円と降伏関数のいずれをも満足しなければならない。したがって限界応力状態では降伏関数はモールの応力円に接することになる。この関係を図に示す。最大主応力と $x$ 軸のなす角を $\theta$ とすると図の a 点の横および縦座標から$\sigma_{x}$ と $\tau_{yx}$ が求まり,b 点のそれから $\sigma_{y}$ と $\tau_{xy}$ が求まる。すなわち次式になる。
\begin{align}
& \sigma_{x} = \sigma_{0} (1 + 2\sin \phi \cos 2\theta) \\[5px]
& \sigma_{y} = \sigma_{0} (1 - 2\sin \phi \cos 2\theta) \\[5px]
& \tau_{xy} = \tau_{yx} = \sigma_{0} \sin \phi \sin 2\theta
\end{align}
ただし,
$$
\sigma_{0} = \frac{\sigma_{1} + \sigma_{2}}{2}
$$
で,$\sigma_{1}$,$\sigma_{2}$ はそれぞれ最大,最小主応力である。また $\phi$ は粉体層の摩擦角である。
→
降伏関数,モールの応力円
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