限界単磁区サイズ
critical single domain size
強磁性体には自発磁化が存在し,大きなサイズの物質では磁区を形成し,静磁エネルギーを最小にし,外部に対し磁化が打ち消し合った状態で安定に存在する。強磁性体を微細化し,粒子サイズが小さくなっていくと,ある大きさ(臨界直径)以下からは,磁区の境界を形成する磁壁が存在できなくなり,エネルギー的に安定な単磁区粒子となる。この粒子サイズを単磁区サイズという。強磁性体の保磁力は,磁壁移動と密接に関係しており,磁性粒子が単磁区サイズになるとその最大値をとる。そのときの粒子の大きさは,飽和磁化や磁壁エネルギーの値に依存し,Fe の場合は直径 20 nm,バリウムフェライトは 1000 nm 程度であることが報告されている。さらに粒子の大きさが小さくなると,異方性エネルギーより熱エネルギーのほうが大きくなり,保磁力は低下する。このような粒子サイズは,限界単磁区サイズと呼ばれ,Morrish らにより Fe3O4 や γ-Fe2O3 について計算が行われている。
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