限外ろ過,限外濾過
ultrafiltration
分離膜を用いて分子量が 1000~数十万程度の溶質を含む溶液を対象として,機械的圧力を作用させて溶媒を膜透過させ溶質と分離するろ過法。これより処理対象物の分子量が小さい逆浸透と,0.01~1 µm 程度の微粒子を分離する精密ろ過との中間に位置する分離法である。限外ろ過膜の細孔径は 5~10 nm 程度と考えられており,ポリスルフォン,ポリアクリルニトリルなどの合成高分子材料からできている。
限外ろ過では,ろ過によって膜面に輸送される溶質が膜によって排除されて蓄積するため膜面での溶質濃度が原液本体の濃度より高くなる濃度分極と呼ばれる現象が生じる。このとき,膜透過流束 $J_{\rm{v}}$ は次式で表わされる。
$$
J_{\rm{v}} = k\ln \left( \frac{c_{\rm{m}}-c_{\rm{p}}}{c_{\rm{b}}-c_{\rm{p}}} \right)
$$
ここに,$k$ は濃度分極層内の溶質の物質移動係数,$c_{\rm{m}}$,$c_{\rm{p}}$,$c_{\rm{p}}$ はそれぞれ,膜面,透過液,原液の溶質のモル濃度である。限外ろ過における操作圧力は 100~300 kPa 程度であり,逆浸透に比べて低い圧力で行う。これは一般に限外ろ過では,圧力を増加させても膜透過流速は増加せず,一定の限界流束に達してしまうためである。
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