高速流動層
fast fluidized bed
高速流動化状態で操作される流動層を高速流動層という。気固系の流動層において流動化ガスの流速を上昇させると,層内の気泡の発生が激しくなるとともに,流動層内で測定される圧力変動が次第に大きくなる。しかしある流速を超えると,圧力変動は最大値をとったあと減少に転じ,上昇ガスに同伴されて上方に飛び出す粒子も見られるようになり,乱流流動化状態へと移行する。乱流流動状態からさらにガス流速を上昇させると,粒子の飛び出しはより激しくなり,流動層表面が明確に存在しなくなって,ガスによる濃厚な粒子の輸送領域へと移行する。これが高速流動化状態である。この状態からガス流速をさらに増していくと,飛び出す粒子が完全に分散した希薄なガス輸送領域へと変化する。高速流動化領域はこのように乱流流動化状態と希薄輸送の間に存在する流動化状態である。
高速流動化状態では,ガスと粒子間の速度差が非常に大きい,粒子負荷を広範囲に変化させることができる,粒子は層内部を上昇し層璧付近では集合してクラスターやストランド(クラスターと同じくグループをなしてまとまって移動する粒子群であるが,主に上下方向に伸びたより糸状のもの)を形成して下降する,などの特徴がある。また,粒子が常に上方に輸送されるため,高速流動層の安定した運転には飛び出しに見合う粒子補給が必要となり,通常は外部循環型の循環流動層として操作される。
→ 流動層
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