粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

コゼニー・カーマンの式

Kozeny-Carman's equation

 粒子充塡層を通過する流体の空塔速度と圧力降下の関係式。J.Kozeny(1927)は,粒子充塡層(固定層)内空間を多数の毛細管集合体にみたて,動水半径を取り入れてナビエ・ストークスの式を解き,流体空塔速度 $u$ [m s-1] と圧力降下 $\mathit{\varDelta}p$ [Pa] との間に次式の関係を得た。

$$ u = \frac{\varepsilon^{3} \mathit{\varDelta}p}{K\mu {S_{\mathrm{v}}}^{2}\left( 1-\varepsilon \right)^{2}} \tag{1} $$
 これをコゼニーの式という。$\varepsilon$ [-] は充塡層空間率,$L$ [m] は層高,$S_{\mathrm{v}}$ [m2 m-3] は粒子比表面積,$\mu$ [Pa s] は流体粘度,$K$ は細管形状,配列,細孔径分布に関係し,コゼニー定数と呼ばれる。

 P.C.Carman(1937)はポアズイユの式から出発し,細孔屈曲率 $L_{\mathrm{e}}/L$($L_{\mathrm{e}}$ は細管実長)を考慮して,
$$ K=k\left( \frac{L_{\mathrm{e}}}{L} \right)^{2} $$
とし,多数の実験結果を整理して,
$$ Re_{1} = \frac{u\rho}{\mu S_{\mathrm{v}}(1-\varepsilon)}=10^{-2}〜10^{4} $$
に精度 ±35 % で適用できる次の実験式を得た。$\rho$ [kg m-3] は流体密度である。
$$ \frac{\varepsilon^{3} \mathit{\varDelta}p}{\rho u^{2} L S_{\mathrm{v}} (1-\varepsilon)} = \frac{5}{Re_{1}}+\frac{0.4}{{Re_{1}}^{0.1}} \tag{2} $$
 $Re_{1}<2$なら右辺第2項を無視でき,精度 ±10 % で $K=5$ としてよく,また比表面積径 $D_{\mathrm{ps}}$ [m] により式(1)を表わせば,$S_{\mathrm{v}}=6/D_{\mathrm{ps}}$ より
$$ \frac{\mathit{\varDelta}p}{L} = \frac{180\mu u (1-\varepsilon)^{2}}{\varepsilon^{3}{D_{\mathrm{ps}}}^{2}} $$
となる。これがコゼニーカーマンの式と呼ばれて,充塡層の圧力降下,ろ滓抵抗,流動化開始速度透過法による粒子比表面積などを求めるのに用いられる。

→ 透過法

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/05/12

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