粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

固定層,固定床

fixed bed

 固体粒子を充塡して形成した粒子層を固定層という。固体粒子を容器内に充塡してつくる充塡層にはこのほか,層全体が徐々に一方向に移動する移動層や,流体の流れによって充塡層の空隙を増加させ粒子を浮遊させる流動層があるが,これらと区別して,特に静止した固体粒子層に対してこの語が用いられる。また,主に学術用語として使用される固定層に対し,技術用語としては固定床の語を用いる場合が多い。
 固定層は,充塡粒子間の空隙に気体や液体,あるいはその両方を流すことによって,ガス吸収,蒸留,吸着などの物質移動を含む操作や,触媒反応などの反応装置,さらに固液,固気分離など幅広い応用面をもつ。固定層では粒子径を小さくすることによって単位体積当たりの粒子表面積を大きくし,粒子—流体間,あるいは気体—液体間の有効な接触を得ることができるが,一方で流体の圧力損失を増大させるため,最適な粒子径が存在する。また,固定層の塔径が充塡粒子の粒子径に比べ十分に大きくない場合には,塔壁付近での充塡構造の関係から壁付近の空隙率が固定層内部の空隙率と異なることによって,層内の流れに半径方向の不均一が生じ,問題となる場合があるので注意を要する。

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/4

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