砂などの粒状物質をろ材（濾材）として古くから工業用水，上水道などのろ過に用いられている装置であり，砂ろ過器ともいう。緩速サンドフィルターと急速サンドフィルターに大別できる。緩速砂ろ過では，砂層内部を好気的状態に保ち，ろ液を非常に小さな流速で通過させて主に微生物の働きによって懸濁物質を除去する。一方，急速砂ろ過では，凝集・滅菌処理など薬品の力を利用して高い分離速度でろ過を行う。急速砂ろ過では，ろ液の流れ方向にろ材の空隙を次第に小さくして分離能力を向上させるために，上部に無煙炭砕粉（アンスラサイト），下部に砂を充填する二層構成，さらにその下にザクロ石微粉を充塡する三層構成などが用いられる。ろ過が進行し，ろ材層に懸濁物質が堆積しろ過能力が低下すると，ろ材層は，ほとんどの場合，浄水を逆流させ，ろ材層を流動化して洗浄する逆流洗浄によって再生される。