磁性流体は,強磁性物質である金属やフェライトの超微粒子(マグネタイトの場合は 10 nm 以下の超常磁性)を,オレイン酸などの界面活性剤で表面処理し,溶媒中に分散させた,きわめて安定なコロイド溶液である。この液体は,均質な強い磁性をもった液体として磁界に反応し,力学的なカ(重力,遠心力場)や磁界の印加によって,粒子が溶媒と分離されることはない。したがって磁界を加えると,流体中の磁性粒子に作用する力は,あたかも液体そのものに作用しているごとく,従来にない特有の挙動を示す。応用としては,真空のシール,軸受や磁気的な浮力を利用した比重選別装置などがある。
執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/20