湿球温度
wet-bulb temperature
温・湿度が一定の気流と少量の液が十分長時間接触したのち,液への伝熱が気流からのみであるならば,伝熱量がすべて液の蒸発に使用される定常状態に達し,液温は一定値を示す。このときの液温をその気流の湿球温度 $T_{\mathrm{W}}$ という。気流の温度を $T$,気流中の液成分の蒸気分圧から求めた絶対湿度を $H$,$T_{\mathrm{W}}$ における液の蒸発潜熱と飽和蒸気圧から求めた絶対湿度をそれぞれ $r_{\mathrm{W}}$,$H_{\mathrm{W}}$ とし,気相の境膜伝熱係数および絶対湿度基準の境膜物質移動係数をそれぞれ $h_{\mathrm{G}}$,$k_{\mathrm{H}}$ とすると,定常状態での熱収支より次式を得る。
$$
\frac{H_{\mathrm{W}}-H}{T-T_{\mathrm{W}}} = \frac{h_{\mathrm{G}}}{k_{\mathrm{H}}\,r_{\mathrm{W}}}
$$
右辺の $h_{\mathrm{G}}/k_{\mathrm{H}}$ は気-液の組合せによって定まる値で,気流の速度には無関係であり,温度による変化も小さい。したがって,この値が既知の気-液系では $T$ と $T_{\mathrm{W}}$ から,$H$ あるいは蒸気分圧を求めることができる。この原理を利用したのが乾湿球温度計である。また,$T$ と $H$ から $T_{\mathrm{W}}$ を求めることもできる。
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乾球温度,
等湿球温度線,
断熱冷却線
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