集塵
dust collection
気体中に浮遊している粒子状物質を分離除去又は積極的に回収する固気分離操作であり,産業活動によって生じた粒子状汚染物質除去や有価物回収の目的で多く使用されている。なお,この操作を除塵ということもある。
産業活動などによって生じた汚染物質は,大気中へ排出される前に除去するのが効果的であり,「公害対策基本法」や「大気汚染防止法」で排出が規制されている。また,事業所内での作業環境を良好に保つための「労働安全衛生法」や,多数の人々が利用する建築物に対しては「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」によって浮遊粉塵の量が規制されている。また高度に精密な電子部品や医薬品の製造ではわずかの空気の汚れも除去する必要があり,高性能の集塵装置が要求される。また,最近では,高温ガスのもつ熱エネルギーを効果的に回収する目的で,1000 ℃ 近い高温含塵ガス中からの粒子分離装置としても注目されている。
集塵の対象となる粉塵粒子の大きさは,サブミクロンから数百ミクロンまでの広い範囲にわたっている。濃度は通常,g m-3,mg m-3 のように単位体積当たりの質量で表現されるが,数十 g m-3 程度の高濃度から,数個 m-3 のように個数でしか表現しにくい極低濃度までが集塵の対象となる。
気体中からの粒子の分離は,多くの物理的性質が複合した結果として生じる分離力により行われるが,主な分離機構は以下のとおりである。
粒子の分離性能は,集塵率によって表現される。上記の (1),(2),(3) のような力学的作用による集塵では,空気力学的粒子径が大きいほど集塵率は高くなる。また,拡散や泳動作用(上記の (5),(6))では粒子が小さいほど集塵率が高い。さえぎりは二つあるいはいくつかの捕集機構の境界領域で,どの機構もそれほど作用しないときに,有効となる機構である。静電気力は,粒子および捕集体の荷電状態,電界の有無,強度により異なるが,一般に力学的作用の場合に比べると粒子径の変化に対する集塵率の増減の程度は小さい。→ 空気力学的粒子径, 熱泳動, さえぎり作用
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