集塵率,集塵効率
collection efficiency
集塵装置の最も重要な性能指標であり,式⑴で定義される。集塵効率,捕集率(捕集効率)あるいは除塵効率などの表現もあるが,JIS B 9909 で規定されている集塵率が最も一般的である。
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\mathrm{集塵率,}\ \eta = \frac{\mathrm{単位時間に装置内で分離されたダストの質量} ~[\mathrm{kg\ h^{-1}}]}{\mathrm{単位時間に装置内に流入したダストの質量} ~[\mathrm{kg\ h^{-1}}]} \tag{1}
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しかし,実際には,装置内で分離されたダスト質量の計測は困難で,誤差が大きいので,装置の入口,出口で同時に測定した粉塵流量 $w_{\mathrm{i}}$,$w_{\mathrm{o}}$ [kg h-1] から集塵率を求めることが多い。
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\mathrm{集塵率,}\ \eta = \frac{w_{\mathrm{i}}-w_{\mathrm{o}}}{w_{\mathrm{i}}} \tag{2}
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さらに,装置の入口と出口での,基準状態(0 ℃,1 気圧)に換算した乾きガス基準の粉塵濃度 $C_{\mathrm{i}}$,$C_{\mathrm{o}}$ [kg mN-3] を用いると,次式のように計算できる。
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\mathrm{集塵率,}\ \eta =\frac{C_{\mathrm{i}}-C_{\mathrm{o}}}{C_{\mathrm{i}}} = 1-\frac{C_{\mathrm{o}}}{C_{\mathrm{i}}} \tag{3}
$$
ただし,この場合,出入口間で水分の蒸発や凝縮によるガス流量の増減がないことが前提であり,洗浄集塵装置などでは,乾きガス流量当たりの濃度に換算しなければならない。
JIS で定義されている集塵率は,捕集されたダストの質量で与えられ,大気汚染の防止に対する各種粉塵の規制値もまた質量濃度によっているため,集塵率はほとんど大粒子がどれだけ分離されるかで決まり,微細粉塵の分離は影響しない。この欠点を改善するには粒子径別の集塵率,すなわち部分集塵率あるいは部分分離効率で表示しなければならない。
集塵率が 100 % に近い場合は,分離されずに装置から出ていく粉塵に注目したほうが,装置の性能を正確に評価できることがある。このようなとき,次式で定義される通過率 $P$ が用いられる。
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P = \frac{w_{\mathrm{o}}}{w_{\mathrm{i}}} = 1-\eta \tag{4}
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【参考文献】
- JIS B 9909-1994 集じん装置の仕様の表し方
- JIS については日本産業標準調査会(JISC)の「JIS検索」も参照(要ユーザー登録)
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