粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

焼結機構

sintering mechanism

 焼結とは,単一あるいは複数の相からなる粉体集合体を,その主構成相の融点以下の温度で焼成し,それに強度を賦与することをいう。この強度発現には,粉体粒子間に結合を形成することが必要不可欠であり,それには粒子間に種々の経路に従い物質移動が起きなければならない。液相焼結機構では物質移動に液相が関係する。反応焼結機構では反応を伴なって粒子間の結合が生成する。固相での焼結機構は物質移動経路で分類され,また粉末集合体の緻密化と密接に関係する。物質移動の出発点が粒界で,それが主に粒界を拡散(粒界拡散機構)あるいは体積中を拡散して(体積拡散機構)粒子間のネックへ移動すると粉体集合体は収縮する。出発点が表面であり,ネック部へ表面拡散,蒸発凝縮,あるいは体積拡散の機構で移動するときには収縮は起きない。物質移動の駆動力は,常圧焼結では粉体表面と粒界との間の界面エネルギー差である。一軸圧力(ホットプレス)や静水圧(HIP)下での焼結では駆動力は粒界の圧縮エネルギーと粒子間ネック付近の界面エネルギーの差である。その値は著しく大きく,焼結速度は著しく向上する。

→ 粒界

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/12

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