錠剤機
tableting machine
錠剤を製造する専用機。往復運動式のエキセン型と,ロータリー式があるが,通常の生産にはほとんど後者が用いられている。ロータリー式錠剤機は,円形回転盤に数組から数十組の上杵,臼,下杵が組み込まれており,回転盤の回転の間に,臼中への粉体の充塡,充塡量の調整,上・下杵とローラーによる圧縮成形,成形体の臼からの放出の四段階の操作が行われる。生産では,種々の自動打錠制御装置を備え,1 時間に 10 ~ 20 万錠以上の高速度で錠剤を製造する。そのため,打錠障害を回避すべく種々の添加剤を用いて粉体の力学物性を調製することが必要になる。粉体の高速圧縮過程の粘弾性を考慮して圧縮時間の延長を図るために予圧圧縮ローラーを備えたり,圧縮ローラーを二段,三段に配置した多段圧縮錠剤機,最高圧縮圧の作用時間の延長を図るべく通常の平板型圧縮ローラーをコーンフラスタム型圧縮ローラーに変えた傾斜ローラー型錠剤機などが開発されている。また,生産量を上げるためロータリー打錠機の一回転の間に複数回の製錠サイクルをもつ多点圧縮錠剤機なども用いられる。さらに,滑沢剤による粒子間結合力の低下を回避するために外部滑沢錠剤機が開発されている。そのほか特殊なものとして,スラッグ錠剤機,多層錠剤機,有核錠剤機,湿潤粉体錠剤機がある。これら錠剤機の原料顆粒や粉体を充塡する部分には,流動性のよい原料ではフィードシューが,流動性が悪いときには強制攪拌型フィーダー(agitating die feeder,induced die feeder)が用いられる。また,臼や杵の折損や摩耗が問題になることから,通常は高炭素工具鋼などに焼入れ,焼戻しを行って強度を高めたり,超硬合金を使用する。打錠工程で起こるトラブルとしては,キャッピング(capping),ラミネーション(lamination),スティッキング(sticking),ダイフリクション(die friction)などがある。
→ 自動打錠制御装置,
キャッピング,
ラミネーション,
スティッキング,
ダイフリクション,
錠剤
【広告】