粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

衝突板式スクラバー

impingiment baffle scrubber

 この形式のスクラバーの典型的なものは塔内に 1 段または多段のトレイを設置し,捕集液は塔上部から各トレイ上を通って流下する構造で蒸留塔のそれと類似している。含塵ガスは塔底部から流入し,各トレイの下から逐次各トレイの底に設けられた多数のスリットや孔(3 〜 10 mm)を通ってトレイ上の捕集液中へ流入し,捕集液中のスリットや孔の上部に設置された衝突板に衝突させる方式の洗浄集塵装置である。含塵ガスは,スリットや孔を通過する際に 18 ~ 30 m s-1 に加速され,粉塵粒子はその慣性によって衝突板に一部の粗大な粒子のみ衝突する。注意すべき点はこの方式では上記衝突板による捕集はメインではないことである。すなわち含塵気流が衝突板の端部を通過する際に捕集液が気流によって噴霧されるが,その噴霧液滴に粉塵が捕捉されることによる捕集がメインの捕集機構である。捕集効率は,一般に 1 µm の粒子で 70 %, 3 µm の粒子で 95 % 程度である。圧力損失は 1 段当たり 20 ~ 40 mm 水柱である。本形式では硫酸工業でよく用いられる,ピーボディースクラバ(商品名)が著名である。

→ インピンジャー

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/10/10

【広告】