除電
charge elimination
粉体粒子の除電には,接地のほか,自己放電,コロナ荷電,放射線,紫外線,軟 X 線を利用する方法などがある。粉体を接地金属容器に入れておくと,比較的導電性の大きい粉体では,電荷は指数則に従って減衰する。なお,接地金属容器の内部の粉体が流動する場合は,接触帯電を同時に生じるので除電はできない。
次に,自己放電による除電は,空間に浮遊する帯電粒子群のつくる空間電界が十分に大きい場合に,周囲の接地導体などとの間で発生するコロナ放電を利用する。生成された正イオンは負に帯電した部分に拡散移動して再結合し,負イオンは正に帯電した部分で再結合する。この過程により,帯電した粒子群が除電される。接地導体を針状にしておくと,針先端部の電界強度が大きくなりコロナ放電が起こりやすくなるので除電の効果もあがる。自己放電を利用する方法として,金属細線を織り込んだバグフィルターなどが実用されているが,細線としては金属めっき繊維,金属蒸着繊維,炭素複合繊維,極細アクリロニトリル繊維の表面を硫化銅で処理したもの,アクリルポリマーをベースにカーボンブラック微粒子を線状に配列した炭素配列有機導電性繊維など,種々のものがある。
次に,コロナ放電を交流高電圧あるいは交番する矩形波の高電圧を利用して積極的に起こし,除電したい空間に多量の正負イオンを供給する方法や,放射線源を利用して空中で正負イオンを発生させる方法などがある。これらの方法においては,仮に正負イオンが等量供給され中和が十分進んで平衡になったとしても,すべての粒子の電荷がゼロになるわけではない。発生した正負イオンのバランスをとるためには,対向電極に電圧をかけてイオンを引き出したり,電極にバイアス電圧をかけるなどの工夫が必要である。また,対象とする空間に十分なイオンを供給するには高速気流を用いる。
紫外線方式は不活性ガス中あるいは減圧無酸素状態で使用される。また,軟 X 線方式は除電に要する時間が短く空気中で使用できるが,安全のための遮蔽が必要である。
→ コロナ荷電,
接触帯電
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