振動ミル,振動ボールミル
vibration mill
広い意味のボールミルの一種で,円筒状ないしトラフ状のミル内にボールその他の粉砕媒体を入れ,このミルに振動を加え(回転は行わない)媒体に運動を与えて粉砕を行う粉砕機。被粉砕物と粉砕産物の粒度範囲は大体ボールミルと同じでやや微粉域によっている。ミル本体をスプリング上におき,モーターよりのシャフトに偏心振動源を取り付け,その回転によって加振するのが普通であるが,振動モーター,あるいは電磁的方法によって加振する場合もある。一般に振動数は 50 〜 60 Hz ,振幅は数 mm 〜 2 〜 3 cm のオーダーである。振動の形式によって二形式に分けられるが,円形振動の場合は垂直面上で真円を描くような振動型が最も粉砕速度が大きいと考えられているので、振動様式を整えるため振動源とミルの重心を一致させるように配置する。これに対し旋動ミルでは,媒体に複雑な循環・混合作用を与えるように三次元的振動を行わせている。振動ボールミルは比較的小型でも粉砕効率がかなり高く,特にボール充塡率を高く(〜 75 %)することができるので容積効率に優れており,乾式,湿式を問わず,また回分・連続を問わず粉砕から微粉砕域において広く用いられている。運動の変位のきわめて小さい振動のみで行われるため,ミルを密閉したり,ミル中の雰囲気をコントロールしたりすることが容易であるので,化学変化をともなう粉砕など特殊粉砕にも用いられている。
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