水銀圧入法
mercury porosimetry
固体表面との濡れ性の悪い水銀を用い,水銀を粒子の細孔あるいは粒子間空隙に押し込むのに必要な水銀の圧力と圧入量から細孔径分布を測定する方法。水銀の表面張力 $\gamma$,接触角 $\theta$ ,細孔の半径を $r$ とすると,細孔から水銀が押し出される力($2\pi r \gamma \cos \theta$)と水銀の押し込み力($\pi r^{2} p$)の釣り合いから圧力 $p$ と細孔半径の関係は,
$$
p = -\frac{2\gamma \cos \theta}{r}
$$
となり,小さな細孔ほど高圧が必要で,水銀の物性値($\theta=140˚,~\gamma= 48~\mathrm{N~m^{-1}}$)を用いて計算すると,通常の油圧器の限度である 300 MPa の圧力に相当する 5 nm 程度の細孔が測定下限である。実際の測定は減圧して水銀と粒子層を接触させ,徐々に水銀に加える圧力を増加させて水銀の侵入量を測定する。吸脱着法では測定困難な数百 µm の大きな細孔から数 nm のミクロ細孔領域まで測定が可能である。圧力と圧入量はヒステリシスが生じることが多いので,一般に圧入過程で測定を行う。測定を自動化した水銀ポロシメーターが数機種市販されている。
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細孔,気孔率
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