水分移動係数
moisture transfer coefficient
乾燥過程における材料内の水分移動においては,不均質系での液状水の粘性流れ・水蒸気の気相拡散と粘性流れ・吸着水の表面拡散,均質系での水分子の液相拡散など種々の移動機構が考えられている。したがって,材料内の水分移動速度を正しく記述するためには,それぞれの移動機構に応じた式を使い分ける必要がある。しかし,それでは式の取り扱いが複雑で工学計算には不便なため,特に不均質系に対して,移動機構とは無関係に,含水率勾配に基づくフィック型拡散方程式
$$
N = -\rho D \frac{\partial C}{\partial x}
$$
の成立を仮定して,計算を進める方法がとられることが多い。この式中の見掛けの拡散係数 $D$ を水分移動係数という。ここで,$N$ は材料単位表面積当たりの乾燥速度,$\rho$ は乾き材料の見掛け密度である。
→ 乾燥
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