静電拡散
electrostatic diffusion
粒子が単極に帯電していると,粒子の電荷により形成される空間電場のために反発力が生じ,粒子群は外に向かって広がっていく。この現象は静電拡散と呼ばれる。帯電粒子により形成される空間電場 $\boldsymbol{E_{\mathrm{s}}}$ は,次のポアソン(Poisson)の式で与えられる。 $$ \nabla \cdot \boldsymbol{E_{\mathrm{s}}} =\frac{\rho_{\mathrm{E}}}{\varepsilon_{\mathrm{0}}} \tag{1} $$ ここで,$\varepsilon_{\mathrm{0}}$ はガスの誘電率,$\rho_{\mathrm{E}}$ は単位体積中に存在する電荷の総量である。静電拡散による微粒子の濃度変化は,対流拡散方程式に電界中での微粒子の移動速度 $$ v_{\mathrm{E}} = BpeE_{\mathrm{s}} = Z_{\mathrm{p}} E_{\mathrm{s}} \tag{2} $$ を考慮することで得られる。ここで,$B$,$p$,$Z_{\mathrm{p}}$ は粒子の移動度,帯電数,電気移動度で,$e$ は電気素量である。流体が静止し,粒子径が大きく,ブラウン拡散が無視でき,粒子の帯電数 $p$ が均一で比較的高いとき,初期粒子濃度 $n_{0}$ の粒子の $t$ 秒後の粒子濃度 $n$ は次式で表わされる。 $$ n = \frac{n_{0}}{1+\frac{Bp^{2}e^{2}n_{0}t}{\varepsilon_{\mathrm{0}}}} \tag{3} $$
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