静電凝集
electrostatic coagulation
正および負に帯電した粒子が混在するエアロゾルおよびコロイドでは,同符号粒子間では,斥力が働くが,異符号粒子間では引力が働き,粒子が凝集する。これを静電凝集という。ブラウン運動する粒径 $D_{\mathrm{p}i}$ の粒子と粒径 $D_{\mathrm{p}j}$ の粒子の静電凝集定数は,ブラウン凝集定数に比べ,次の $\beta_{\mathrm{E}}$ 倍増加する。
$$
\beta_{\mathrm{E}} = \left[
\frac{D_{\mathrm{p}i}+D_{\mathrm{p}j}}{2}\,\int_{\frac{D_{\mathrm{p}i}+D_{\mathrm{p}j}}{2}}^{\infty} \frac{\exp \left\{ \int_{r'}^{\infty} \frac{F(r)\mathrm{d}r}{kT} \right\}}{r'^{2}}\mathrm{d}r'
\right]^{-1}
$$
ここで,$F(r)$ は $r$ の距離だけ離れた二粒子間に働く静電気力であり,$k$ はボルツマン定数,$T$ は絶対温度である。
エアロゾル粒子の帯電状態が両極イオンで中和された平衡帯電量分布程度であれば,$\beta_{\mathrm{E}}$ の値はほぼ 1 となり荷電の影響は無視できる。この帯電凝集現象は,粒子の帯電量が大きいとかなり顕著となるが,凝集の進行とともに帯電量が減少するので,時間の経過とともに弱くなる。多分散エアロゾルの静電凝集による粒子径(粒度)および帯電量分布の時間的変化は,ポピュレーションバランス式(population balance 式)の数値計算で求められるが,かなり複雑である。
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