粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

せん断過程曲線,剪断過程曲線

shear process diagram

 粉体層がせん断崩壊するときのせん断ひずみとせん断応力の関係を示したものをせん断過程曲線と呼ぶ。層のせん断変位が小さい弾性平衡状態ではせん断応力はせん断ひずみにほぼ比例し,直線的に増加する。しかし,せん断変位が大きくなり,層が崩壊する塑性平衡状態以降では,せん断時の垂直応力の大小によって,せん断過程曲線は三つの異なったパターンを示す。

  1. せん断時の垂直応力 σa が予圧密応力 σp に比して十分小さい場合,層の崩壊によって空間率は大きくなる(膨張崩壊)ので,せん断変位の増加とともにせん断応力は急激に減少し,一定値に漸近する。
  2. せん断時の垂直応力 σc が予圧密応力 σp よりわずかに小さい場合,垂直応力とせん断応力の合応力が層成形時の最大主応力より大きくなるので,層は崩壊とともに空間率は減少する(圧密崩壊)ため,せん断変位が増すにつれてせん断応力も徐々に大きくなり,やがて一定値になる。
  3. せん断時の垂直応力 σb が 1 と 2 の間の場合,層が崩壊しても空間率は変化せず,せん断応力は一定で,せん断変位だけが増す。
 これらのせん断過程において,層が崩壊する瞬間のせん断応力と垂直応力とを σ—τ 面にプロットすれば破壊包絡線,一定になったときのせん断応力の値と垂直応力とを σ—τ 面にプロッ卜すれば限界状態線が得られる。破壊包絡線は層の空間率によって異なるが,限界状態線は空間率の影響を受けず,試料固有の特性で,その勾配は動摩擦係数に相当する。

→ せん断試験(剪断試験)破壊包絡線


せん断過程曲線
せん断過程曲線
執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/8/27

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