塑性流体
plastic fluid
固液分散系スラリーの流動においては,降伏値を示すものがある。すなわち,有限の降伏応力以下の応力を加えても流動を起こさず,これを超えるせん断応力(剪断応力)に対しては一定せん断速度で定常流動を行う。このような降伏値をもつ流体を塑性流体と呼び,塑性流体のせん断応力 $\tau$ とせん断速度 $\dot{\gamma}$ との関係式として,
\begin{align}
\tau &= \tau_{y} + \eta_{\mathrm{pi}} \dot{\gamma} \tag{1} \\[4pt]
\tau &= \tau_{y} + m {\dot{\gamma}}^{n} \tag{2} \\
\end{align}
などが提出されている。ここで,$\tau_{y}$ は降伏応力,$\eta_{\mathrm{pi}}$ は塑性粘度である。式 (1) で表わされる塑性流体をビンガム流体と呼ぶ。また式 (1) をビンガムモデルという。実際には広いせん断速度範囲にわたっては,式 (1) のような単純なモデルでは表現できない場合が多く,式 (2) をはじめ多くの改良モデルが提案されている。式 (2) はHershel-Bulkleyモデルと呼ばれる。
粘土ペースト,塗料やインクなどのサスペンジョンが塑性流体として知られ,金属の塑性流動と類似の流動特性をもつ。構成粒子間に摩擦相互作用をもつ粉体層も,粉体層内にあるせん断応力が作用するまでは静止したままで,せん断応力がある大きさになったとき急に流動する。この点で,粉体の流れも塑性流体的である。
→ 塑性流動,塑性変形,粉体の流動性
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