大気汚染
air pollution
有害ガス,悪臭,粉塵などの汚染物質が大気中に放散され,人体,動植物,器物などに被害を与える,あるいは被害が起こる可能性のある濃度に達した状態をいう。広義には汚染物質が天然現象に起因する場合,たとえば火山の噴火にともなう降灰や植物の花粉などによる汚染を含むこともあるが,普通は人工的な汚染,たとえば化石燃料の燃焼にともなう汚染などに限っている。環境基本法第 16 条第 1 項は,人の健康を保護し生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めることを規定しているが,この中で大気汚染に関係する現在の環境基準を表1,表2に示す。環境基準は人の長期暴露に対し安全なレベルという観点から,動物実験や疫学データに基づいて制定されるが,人体への長期的影響を評価することは容易ではなく,同法第 16 条第 3 項に「常に適切な科学的判断が加えられ,必要な改定がなされなければならない」と規定している。大気汚染を規制する法令としては,大気汚染防止法,悪臭防止法および地方条例がある。
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浮遊粒子状物質
物質 | 環境上の条件 |
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二酸化硫黄 | 1時間値の1日平均値が 0.04 ppm 以下であり,かつ,1時間値が 0.1 ppm 以下であること。 |
一酸化炭素 | 1時間値の1日平均値が 10 ppm 以下であり,かつ,1時間値の8時間平均値が 20 ppm 以下であること。 |
浮遊粒子状物質 | 1時間値の1日平均値が 0.10 mg m-3 以下であり,かつ,1時間値が 0.20 mg m-3 以下であること。 |
二酸化窒素 | 1時間値の1日平均値が 0.04 ppm から 0.06 ppm までのゾーン内またはそれ以下であること。 |
光化学オキシダント | 1時間値の1日平均値が 0.06 ppm 以下であること。 |
備考:環境基準は,工業専用地域,車道その他一般公衆が通常生活していない地域または場所については,適用しない。 |
ベンゼン | 1年平均値が 0.003 mg m-3 以下であること。 |
トリクロロエチレン | 1年平均値が 0.2 mg m-3 以下であること。 |
テトラクロロエチレン | 1年平均値が 0.2 mg m-3 以下であること。 |
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