粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

多段流動層

multistage fluidized bed

 流動層を高さ方向に多段化したもの。流体(ガスの場合が大半)は各段の分散板を通して下から上へ流通させる。粒子下降管の開口部を分散板よりも高い位置に設定すれば,層を形成しつつ粒子を上から下へ移動させることができ,粒子と流体の多段向流接触を実現することができる。粒子またはガスを各段に供給し,かつ排出すれば,十字流接触系を構成することもできる。向流接触型の多段流動層は,1940 年代末の石灰石の仮焼炉(calcination furnace)にはじめて採用され成功を収めた。単段流動層では粒子はほぼ完全混合なので,多段化によりピストン流に近づけ,熱交換効率や反応率 [1 - (1 + Da/n)-n](Da:ダムケーラ数,n:段数)を大きく向上できる。全層重量が同じ条件で,粒子の未反応率を 0.1 % として処理量を比較すると,三段で,一段のときの 37 倍の能力を得る。活性炭による吸着操作,石炭のガス化,粒子の連続分級など,多段流動層の応用例は少なくない。

→  流動層

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/08/13

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