沈降法,沈降分析
sedimentation method
重力や遠心力によって,媒体中を落下する粒子の速度からストークスの式などの沈降速度式に基づいて粒子の大きさを求める方法をいう。特に自然沈降速度の遅い微粒子に対して遠心力を用いる場合を遠心沈降法,媒体に液体を用いる場合を液相沈降法と呼ぶ。液相沈降法に比べて気体を媒体とする沈降法の種類は少ない。JIS Z 8820-1 には「液相重力沈降法による粒子径分布測定方法—第1部:測定の一般原理及び指針」が制定されている。
容器内に粉体を分散させると,粉体はいろいろな大きさの粒子から構成されているため,個々の粒子はその大きさ(厳密には大きさ,密度,形状の関数)に応じた速度で沈降する。したがって,ある沈降距離 H における粒子濃度の時間的変化を観測するか,ある時間における沈降方向の粒子濃度分布を観測することで,試料粉体を構成する粒子径分布を求めることができる。一部の測定手法を除いて,ほとんどは粒子濃度の時間変化から粒子径を求める方法であり,その方法はさらに,ある沈降距離 H における濃度変化を測定する増分形と,H 以上あるいは以下の全粒子量変化を測定する積算形に分類できる。濃度は重量,圧力,光透過量,エックス線透過量などの測定から求める。また粉体を媒体全体に分散させて行う均一分散沈降法と,媒体の一部に加える一斉沈降法に分類することができる。沈降法には,沈降天秤法,比重計法,圧力法,アンバランス法,光透過法,エックス線透過法,比重天秤法,ピペット法,差圧法などがある。なお沈降法で得られる粒子径分布は光透過法を除いて質量基準である。
沈降法では分散媒中で試料粒子が完全に単一粒子に分散し,相互に干渉することなく沈降することが必要である。そのためには試料粒子濃度のほか,試料粉体の分散方法や分散剤の選定がきわめて重要となる。
試料粉体の分散方法 | |||
均一分散法 | 一斉沈降法 | ||
濃 度 測 定 方 法 |
増分形 | 光透過法 エックス線透過法 ピペット法 差圧法 比重天秤法 |
光透過法 エックス線透過法 |
積算形 | 沈降質量法 (沈降天秤法) 圧力法 比重計法 比重天秤法 |
- JIS については日本産業標準調査会(JISC)の「JIS検索」を参照(要ユーザー登録)
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