沈着速度
deposition velocity
気相もしくは液相中に浮遊する微粒子の壁面や障害物の表面への移動・付着現象は,沈着現象と呼ばれる。微粒子が障害物の表面・壁面上の単位面積へ単位時間に沈着する粒子数は,沈着フラックス j と呼ばれる。沈着速度 VD は,この沈着フラックス j を壁面から十分に離れた場所での粒子個数濃度 n∞ で除した値で,速度の次元をもち, j/n∞ で表わされる。気相および液相中に浮遊する微粒子の沈着速度を理論的に求めるには,二つのアプローチがある。その第一は,障害物周りでの粒子の運動方程式を解き,沈着が生じる限界粒子軌跡を求めるアプローチで,数 µm 以上の粒子の沈着速度が求まる。もう一つのアプローチは,拡散方程式を解き,沈着量を求める方法であり,1 µm より小さい粒子に対して適用できる。沈着速度が求まると,壁面の単位面積に 1 個の微粒子が沈着するに要する時間が,1/(n∞VD) で求められる。
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