粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

DLVO理論

DLVO theory

 DerjaguinとLandau,および Verwey と Overbeek により独立に提案された液体中の表面間力および粒子分散系の安定性に関する理論。表面間相互作用力として,電気二重層の重なりによる静電反発力と,ファンデルワールス相互作用による引力を考慮し,それらの大小関係により生ずる相互作用ポテンシャルの多様な変化を包括的に定量化した。表面間距離 H→0 の近傍では後者(負)が支配的になるため必ず深い一次極小をもつ。中間的な H の範囲では,高塩濃度や低表面電位の条件では静電斥力が無視小になり全域で引力的に,逆に低塩濃度や高表面電位の条件では H→0 近傍を除く全域で斥力的になる。これらの中間的な条件の場合,ある距離範囲(通常 3 nm 付近)で,エネルギー障壁と二次極小ができる。このとき障壁高さが熱エネルギー kT に比して十分高ければ粒子はこれを乗り越えて付着できず速度論的に安定であるが,たとえば塩濃度を上げると障壁が低くなり,ついに凝集を起こす。DLVO 理論に基づいてこの塩濃度(臨界凝集濃度)が定式化され,荷電数,誘電率ハマーカー定数,温度などとの関係が明示されたことをはじめ,粒子径と凝集・分散性の関係,二次極小による凝集現象,セッケン膜の安定性など,数多くの示唆が与えられている。

→  静電反発ポテンシャル急速凝集

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/07/21

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