電気移動度
electrical mobility
$p$ 個の電気素量($e=1.6019\times10^{-19}\ \mathrm{C}$)をもつ粒子が電場 $E$ 中に浮遊するとき,粒子に静電気力, $$ F_{\mathrm{e}} = peE \tag{1}$$ が働く。粒子レイノルズ数が, $$Re_{\mathrm{p}} = \frac{vD_{\mathrm{p}}\rho}{\mu} ≦ 2 \tag{2}$$ であるストークス域では($v$,$D_{\mathrm{p}}$ は流体との相対速度と粒子径,$\rho$,$\mu$ は流体の密度と粘度),単一の球形粒子が流体から受ける抵抗力 $F_{\mathrm{D}}$ は,粒子の(粒子流体相対速度方向への)投影面積 $A_{\mathrm{p}}$,抵抗係数 $C_{\mathrm{D}}$ と流体の運動エネルギーの積に比例し,次式で与えられる。
$$
F_{\mathrm{D}} = C_{\mathrm{D}}A_{\mathrm{p}}\frac{\rho v^{2}}{2} = \frac{24}{Re_{\mathrm{p}}}\frac{\pi {D_{\mathrm{p}}}^{2}}{4}\frac{\rho v^{2}}{2} \tag{3}
$$
静電気力により生じる粒子の泳動力が定常に達したときの速度 $v_{\mathrm{E}}$ は,静電気力と流体抵抗との釣り合いにより,次式となる。
$$
v_{\mathrm{E}} = \frac{C_{\mathrm{c}}\,p\,eE}{3\pi \mu D_{\mathrm{p}}} = BpeE = Z_{\mathrm{p}}E \tag{4}
$$
ここで,$B$ は移動度であり,$Z_{\mathrm{p}}$ は,
$$
Z_{\mathrm{p}} = \frac{C_{\mathrm{c}}\,p\,e}{3\pi \mu D_{\mathrm{p}}} \tag{5}
$$
で,電気移動度と呼ばれ,単位電場(強度)あたりの粒子移動速度を表す。微小粒子では,カニンガムの補正係数 $C_{\mathrm{c}}$ がおよそ粒子径に逆比例するので,電気移動度は粒子径のおよそ 2 乗に逆比例する。
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