電気集塵
electrostatic precipitation
帯電粒子の直流電界中での運動を利用して,ガス中に含まれている粒子状物質を除去する方法。図1はその原理図で,装置に入ってきた粒子はコロナ放電により生じたイオンの衝突により短時間(10 〜 100 ms)でほぼ飽和値まで荷電され,放電電極と集塵電極との間の電界によるクーロンカで駆動されて集塵電極に到達し,捕集される。捕集粒子が電極上で,適当な厚さになると集塵電極を機械的に槌打(ついだ)して粒子層をはく離し,ホッパーへ落下させる。工業用には平板状の集塵電極と,図2のような針金,角線,有刺線,とげ付棒などの放電電極を組み合わせたものが多い。そして,放電には,火花放電電圧の高い負コロナ放電が採用される。
室内空気浄化には,粒子荷電部と捕集部を分離して配置した2段式構造が用いられる。荷電部には有害なオゾン発生量の少ない正コロナ放電が用いられる。
電気集塵装置は,
- 粒子径によらず集塵率が高く(99.9 % 程度),
- 圧力損失は 100 〜 200 Pa(10 〜 20 mmH2O)と著しく低い。
- さらに,高圧電源の所要電力が少なく,運転保守に要する人手・経費が安いなど優れている,
しかし,
- 粒子の見掛け抵抗率が 109 Ω m を超えると,粒子層内電界強度が破壊値を超え,逆電離現象を発生し,安定な運転が不可能になる。
- 逆に,粒子層の抵抗率が低くなりすぎて 102 Ω m 以下になると,集塵極に飛来した荷電粒子はそこでただちに電荷を失うと同時に誘導帯電で逆極性に帯電し,集塵不能となる。
- また最近,電気集塵装置を用いる都市ゴミ焼却排ガス処理施設からは,猛毒のダイオキシンが高濃度で排出されたり,粒子径のきわめて小さい浮遊粉塵がその表面に種々の有害ガスを吸着して肺胞に沈着し健康障害を引き起こすことが問題になる,
【広告】