粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

電気二重層

electric double layer

 電解質溶液中で固体表面が帯電すると,その電荷を打ち消すように正味の反対電荷が表面近傍の溶液中に分布する。これを電気二重層と呼び,一般論としては図に示す三つのモデルが代表的であるが,粒子間相互作用の観点からは図3のステルンモデルが重要である。

  • 図1:最も簡単なヘルムホルツモデルであり,表面電荷と同量の反対符号の対イオンが距離 δ を隔てて向かい合うという平板コンデンサーモデル。
  • 図2:グーイ・チャップマンモデル。静電的な力と溶液を均一にしようとする熱的な作用が競合する結果,ある程度広がった電荷分布をもつとする。拡散二重層モデルともいわれる。デバイ・ヒュッケル近似が成立する場合には電位分布は減衰長 1/κ の指数関数で表わされる。
  • 図3:ステルンモデル。グーイ・チャップマンでは無視されていたイオンの大きさを考慮し,イオンの表面への最近接距離 δ を設定した。この位置をステルン面,それより内側をステルン層と呼ぶ。電位はステルン層内で表面電位 ψ0から ψδ まで直線的に変化し,そこから溶液側へはグーイ・チャップマンモデルと同様に減衰する。ψδ の厳密な実測は不可能であるが,電気泳動法などで得られるゼータ電位で近似される場合が多い。

→  表面電位, ステルン層(Stern層), 界面電気現象


電気二重層
電気二重層
執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/8/3

【広告】