透過法
permeability method
粉体層に対する流体の透過性から粉体の比表面積を測定する方法である。透過させる流体には空気を用いる方法が主流で,市販の装置のほとんどが空気透過法である。代表的なものにブレーン法,リー・ナース法,サブシーブサイザー,パーラマン,恒圧通気式比表面積測定装置などがある。この方法の基礎はコゼニー・カーマンの式によるもので,厳密には粉体層全表面積ではなく,透過流体に対する全濡れ表面積(ぬれ表面積)が求まる。このため吸着法などで求められた比表面積とは必ずしも一致せず,小さな値を示すことが多い。全濡れ表面積は粉体層の充塡構造に依存するため,これに関係する因子を含むコゼニー定数を半実験的に 5.0 とする点にも問題があるとされている。コゼニー・カーマンの式は透過流体を粘性流体と仮定しているため,気体分子の平均自由行程と比較できる大きさ(大気圧で 1 µm 程度以下)の微粉体試料には適用できない。微粉体層に対しては気体分子の拡散を考慮した分子流補正式を用いる必要がある。たとえばカーマンの式がある。
\begin{align}
& \frac{u}{\varDelta P}\cdot\frac{L}{A} = \frac{4Z}{3}\cdot\frac{F\, \bar{v}}{S_{\mathrm{v}}RT} \\[4px]
& F = \frac{\varepsilon ^{2}}{1-\varepsilon} \\[4px]
& \bar{v} = \sqrt{\frac{8RT}{\pi M}}
\end{align}
ここで,$u$ は流速,$\varDelta P$ は圧力損失,$Z$ は粉体層中の粒子表面と気体分子の拡散衝突による摩擦パラメーターで,0.45〜0.47 程度の値である。$L$ は粉体層厚さ,$A$ は透過断面積,$R$ はガス定数,$T$ は絶体温度,$\varepsilon$ は粉体層の空隙率,$M$ は気体の分子量,$S_{\mathrm{v}}$ は比表面積である。0.1〜1 µm の粒子径範囲では,コゼニー・カーマンの式とカーマンの式をあわせて適用する場合もある。
→
コゼニー・カーマンの式
【広告】