本来は摩擦によって引き起こされる物質移動や化学反応を扱う化学の一分野。たとえば，金属の機械加工や精密研磨の際に，被加工物と刃物もしくは研磨剤との間に起こる化学反応などを対象にする。したがって，対象は，一種類もしくは多種類の固体に及ぼされた機械的な刺激による変化全般に及ぶ。トライボケミストリーの定義と，上位概念であるメカノケミストリーの定義との区別は明確でないが，現在ではトライボケミストリーはメカノケミストリーと同義，もしくはその概念の一部と考える場合が多い。メカノケミストリーの創始者の一人である Heinicke の著になる同名の書（Akademie-Verlag，Berlin，1984）は，現在でもメカノケミストリーの原典として不動の地位を確保している。複合電子回路のケミカルメカニカル研磨技術の開発に，卜ライボケミストリーが見直されつつある。

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