粉体工学用語辞典 powderpedia: Glossary of Powder Technolog

一般社団法人粉体工学会

ニュークリポアフィルター(商品名)

Nuclepore filter

 薄いウランフィルムに中性子を照射して,コリメートされた核分裂片を厚さ 10 µm のポリカーボネート膜に直角にあて,3 ~ 5 µm の飛跡をつくったあと,エッチングにより 0.03 ~ 8 µm の均一な微細孔に仕上げられたメンブレンフィルターである。
 孔数は 105 ~ 107 個 cm-2 で開孔率が 15 % 以下と,他のメンブレンフィルターより空隙率が低いため圧力損失は高いが,真円に近い均一な孔があけられているので,孔径より大きい粒子は確実に表面で捕集される。したがって,捕集粒子の顕微鏡観察が容易で,また特に液体ろ過(液体濾過)では,逆方向に洗浄水を流すことにより,再生利用ができる。
 ニュークリポアフィルターは製造(1968 年)以来,研究用モデルフィルターとして注目され,孔径より小さい粒子の捕集機構や圧力損失などの研究に用いられてきたが,個々の孔が均一な円管なので,ディフュージョンバッテリーと同じ考え方で,超微小エアロゾル粒子粒子径測定にも使われている。

→ メンブレンフィルターディフュージョンバッテリー

執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/07/18

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